現地視察報告
炊き出し支援活動の合間や移動の際に、大震災の爪痕を目にし、多くの被災者の方と言葉を交わす
機会がありました。「多くの人に被災地の今を伝えてほしい」 「今はどんな小さな支援も有難い。今後も
皆さんの力をお借りしたい」と話す被災者の方々の思いに応える為にも、被災地のほんの一部ですが、
見てきたこと、聞いてきたことを報告します。
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・高速道路を含め、道路状況はあまり良くない。走行は可能でも所々に段差があり、高速道路や橋の
 つなぎ目などでは大きくずれて、減速して乗り越えなければならない箇所があった。

・海から数キロ離れた場所では一見分からないが、沿岸部に近づくにつれて被害が克明に成っていく。

・石巻市の中心部では大型スーパーや飲食店が営業中だった。

・沿岸部では道路が冠水し、砂が入り込んでいた。 車両が通過すると乾いた砂が舞い上がり、
 ほこりっぽさが常にあった。車の窓はすぐに砂埃で汚れてしまった。

・車はひっくり返り泥に埋まったままに成っていた。撤去は進んでいない。

・田んぼと見られる田園地帯では海水が溜まったままで引かない。

・報道にもあった様に、家屋は基礎部分が残るだけと成っていた。家の形が残っていても、中は冠水し、
 大量のガレキが流れ込んでいた。

・沿岸の平野部は、小高い丘が無いところも多く、一番高い建物(3、4階建て)の小学校なども
 津波の被害を受けていた。

・公共施設(学校、公民館、役所、児童館など)は比較的、揺れや津波にも耐え残っていた。
 住民もそれらの施設を避難所や避難生活の拠り所としている。
 やはり災害に強い公共施設が数多くあることは、市民に安心感を与えているようであった。
 
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■ 石巻市の状況
・炊き出し支援を行った、牡鹿半島は、幹線道路は2本のみで、その一本が地震の影響で全面通行
 止め。残った道路も路肩が崩れ落ちたり、土砂が道路を塞ぎ、殆どが片側通行だった。

・牡鹿総合支所は、石巻市に合併前には旧牡鹿村の役場。市役所の本庁から50分ほど掛かる場所
 にあり、震災直後は通信手段も途絶え、相互の情報を把握するのですら困難だった。

・現在も商店は壊滅状態で営業が困難な状況。建物が残ったコンビニも、商品の供給ができなく、
 営業はしていない様子だった。

・漁船は海に打ち上げられ、ガレキの撤去は手つかずのまま

・仮設住宅の建設は進むが、まだ入居希望者全員が入るまでには1カ月以上掛かるという。

・石巻市牡鹿稲井商工会に立ち寄り局長に話を聞くと、会員・青年部員が営む商売の店は殆どが
 津波に流され、商工会の事務所自体も一度は水に浸かり業務は出来ない状態。
 職員は「今後の事はまだ考える余裕がない」とのこと。このまま商売をやめることを考える会員もいて、
 商工会組織の弱体化、青年部員の確保にも不安を覚えているという。
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■ 東松島市の状況
・炊き出しを行った縄文村は、半島の先端に位置する。

・中心部から半島に続く道路は、津波で約3キロが津波に流されて消失。橋もなくなり、2週間ほど
 「孤立」した状態にあった。

・自衛隊が土のうを積み上げ、即席の橋を作ったことで、車が通行できるようになった。

・孤立した2週間は、空からヘリで物資を運搬してもらっていた。

・震災直後は水道、ガス、通信、電気と全てのライフラインも途絶え、現在(5月末)も水道は未開通。
 中心部からパイプをつないでいる状況で、水を積んだ車両が何度も運んでいる。

・物資を海から運べないか?と聞いたところ、船が着ける港も海の中は車やガレキが沈んでいて、
 小型の船すら進めない状況にある。

・ガレキの撤去は進まず、「まずはある程度の生活を送れるのが先」とも…。そんな中、港に足を運ぶと、
 漁師の方々が港を片付け、養殖用の道具を整理していた。声を掛けると、「海を恨んではいない。
 今まで何代にもわたって、海の恩恵を受けて生きてきた。これからも海と暮らしていく。 また頑張って
 元通りに戻す。」と語ってくれた。

・炊き出しの受け入れには、東松島市教育委員会の赤澤靖章主幹が尽力してくれた。
 現地調整団体
@ 東日本大地震復興支援市民活動ネットワーク宮城 (阿部代表)
  〒981-3204 宮城県仙台市泉区寺岡1丁目19−20  TEL/FAX:022-378-6869

A 浜松市役所総務部危機管理局
  〒430-0946 静岡県浜松市中区元城町103-2  TEL:053-457-2537
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